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2017年 5月公演 マコンドープロデュース「祖国は我らのために」対談ページ

劇団チョコレートケーキ 脚本家 古川健 × オーストラ・マコンドー 演出家 倉本朋幸 × プロデューサー 山口ちはる

倉本 まず、始まりとしては今回なぜこの三人で鼎談するかというと、演出家の僕と脚本家の古川さんだと作品の内容(ロシア革命)が内容なだけに、マニアックな方向に話が向かって行ってしまう可能性があるので、制作の山口を入れることで、客観的な視点、内容をあまり知らない(観客的視点)、を入れたいと思い、三人で話しています。

 

山口 では、どうしてこの企画をやることになったのか、から話していきましょうか。

 

倉本 僕がオーストラ・マコンドーという劇団をやっているんですけど、古川さんが劇団チョコレートケーキをやられていて、信頼している共通のスタッフがいまして、ある時、彼が、古川さんと僕がやったら面白いものが出来るんじゃないか。って言ってくれて、一回お会いしてみましょうか。なんてところから始まったんですよね。

 

古川 僕もその共通のスタッフさんはとても優秀な方だと思っていまして、その方から来たお話だったので、それは面白いなと。

 

山口 それは最近の話なんですか?それとも結構前の?

 

倉本 どれくらいでしたかねぇ・・・一年くらい前ですかね

 

古川 そうですね、去年の初めの方だった気が

 

山口 そこから具体的にというか、やりましょう。ってなったのはいつぐらいなんですか?

 

倉本 一回お会いして、例えば何やりたいか、って話になった時に、(僕も古川さんの脚本は何回も読ませてもらっていたので)お互いが「革命やりたい!」ってなったんですよね。

   それからお互いにどの革命をやりたいかと寝かせたりもしつつ、大前提として僕は古川さんが一番書きたいことををやりたいなと思ってはいまして、で、古川さんがおっしゃったのが「ロシア革命」だったと。

 

山口 古川さんはロシアに行かれてたんですよね?

 

古川 そうですね。元々、ロシア革命は書いてみたいっていうのがあって、でも自分の劇団だとやらせてもらえないだろうなというのがあったので

 

山口 なら、この機会に、倉本さんとやるにあたって、ロシア革命を

 

古川 そうですね、お祭りみたいな感じで。人数をいっぱい出す団体さんと聞いていたので、大人数が出てきて「革命」というのは面白いなと思って

 

倉本 そうそう。その共通のスタッフの子が言っていたのが、古川さんの脚本で大人数の芝居が観たい。というのが彼の中にはあって、僕のやり方と古川さんの書くものが、すごくある意味離れているから、それが大人数でドッキングした時に面白いことになるんじゃないか。みたいな事を言ってましたよね。

   古川さんはどうして「ロシア革命」をやりたいって思ったんですか?

 

古川 一番原点は個人的な趣味趣向として、実際的なことはともかく、共産主義とか社会主義っていうのに、ある一定の関心がありまして、社会的な実験っていうのかな、実験国家っていうのにロマンを感じるタイプでして、現実から飛び離れたところにひとつ実験のために国まるごとシステムを変えてしまうっていうのは、多分当事者としてはすごく迷惑なこともいっぱいあるだろうけど、ひとつ観察者としてみるとロマンがあるなっていうふうに感じているので、そこをどう描けるか。ってとこですかね。

   創作することによって、現実的なあくとか醜さとはまたちょっと離れたところにある、そこに込められてた思いって言うんですかね、結局人間のつくったものだから、そこに人間の純粋な衝動があると思うですね。そういうものを物語化するときに、その綺麗な部分を舞台上にのっけたいなっていうのはずっといつも思っていることなので

 

倉本 そこにロマンを感じるというのは、子供時代とか、古川さんの生い立ちに何かあるんですか?

 

古川 ああ、そうですね、僕、今年で39になるんですけど、思春期の物が分かり始めたくらいのところでソ連が崩壊して

 

倉本 なるほど、確かに

 

古川 冷戦が終わったっていうのがあって、それがちょっと引っかかってたんですよね。筋だけ聞くと、その共産主義・社会主義っていう、万人の平等を目指してる社会があって、そこと日本が属してる西側、資本主義社会が対立してて、で、東側が負けた。それって何でだ。言ってることは東側の方が理想的なことを言ってるはずのに、物を知ってから、東側社会の醜いところとか、もちろん全然理想通りじゃなかったっていうのを知ると、必然だとは思うんだけど、その当時まだ10歳になったかならないかくらいの僕としてはちょっとそこが不思議だったので、そこがなんとなく原体験になって、東側社会に対して、憧れというか、そういうものを感じるんです。

 

倉本 僕はなんで革命をやりたいかって、原体験で考えていくと、僕高知出身なんですけど、高知県って結構閉鎖的な空間で、例えば僕の友達とかはほとんどが大学にも行かないし、肉体労働者で、両親が片親だったりとかで、だからそういう社会で僕は育ったので、よりその古川さんが書こうとしていることとどこかリンクする感じが自分の中に原体験であるんだなって思っていて

 

山口 なんていうか、倉本さんがそこで生きてた時っていうのは、それに対して何か「この生活を変えてやる」みたいなことではなく、普通にそこで生きてたんですよね?

 

倉本 そうそう。それは今の日本っていうシステムに生れたときに、元々はみんなそうだったはずですよね?

 

山口 それが「革命」として立ち上がる瞬間っていうのが気になるんですが

 

古川 やっぱりそこを突き詰めると、人間、「食えない」っていうところに

 

倉本 そうですよね

 

山口 なるほど

 

古川 特にいまの日本だと、食えないっていう状況が、もしかしたら隠れてるだけで本当に食えない人がある程度いるのかもしれないけど、残念ながら、それは多数派ってことにはならないので、(物質があふれている)そう考えると、ほんの百年前には本当に食えないで、食うために立ち上がるしかない、自分の命を守るための闘争なので、それはある種の必然性があるなと思いますし

 

倉本 しかも、よく調べていくと、何百年の歴史でずっと革命してるんですよね、ロシアは。ヨーロッパもそうだし、そういう歴史背景があるってことなんですよね。

 

古川 ヨーロッパは特にフランス革命が18世紀にあったり、その前にイギリスでは※無血革命があったり、その影響が広がって、その社会改革、※階級闘争っていうのは継続的にあって、むしろロシアは逆に大きくってそもそも皇帝の権力が非常に強いので、なかなかひっくり返すこともできず、最初は※インテリゲンチャと言われる貴族が社会を変えようみたいな運動がずっと続いてて、最終的にはロシア革命に至るっていう。非常に長い歴史というか

 

倉本 そうですよね、それも※マルクス主義ができて、ヨーロッパに流行って、ロシアは農民の社会性があるから上手くいかないんじゃないかっていって、それを信じる人、信じない人に分かれていくんですけど、元々はひとつの本とか、思想、言葉から伝達されていったってことですもんね。それが面白いですよね。叶うまでに何百年も死んでった人がいるっていうのが凄いですよね。それは日本にも絶対あるんだろうけど。

 

山口 なんで諦めなかったんだろうって。色々形は変わっていったとは思うんですけど、その百年続くっていう、本当にロマンを感じるんですけど、途中でこれはやめといた方がいいんじゃないか。みたいな人はいなかったんですかね。

 

倉本 そういう人ももちろん居たんですよね。途中で考え方を変える人が現れてきて、もっと体当たりしてた、思想で、革命を何人か少人数で例えば農民を口説いて、思想を与えて、みんなでやろうっていって、やるんだけど、その人たちが警察に検挙されるんですよ。そしたらまた脱獄したり、ビラまいたり、そういう思想を一直線にやって、失敗と成功を繰り返していくんだけど、っていう中で、もっとちゃんと考えてから革命を起こそうよ。みたいな人が現れたんですよね。そこから変わっていくんだけど、そこまでの体当たり感というか、すごく残酷だし、悲しいことなんだけど、それはやっぱり古川さんの言う通りで、食えないってことに行き着くんですよね。

 

山口 普通の市民たちが、武器をもって戦って、人を殺めたりっていうのは、今の私たち自身では、世界では戦争がおこっているけど、どういう風にそれが立ち上がっていったんだろうかとか

    このお話的にはその百年を描くってことではなくて、どの部分をというか

 

古川 いわゆるロシア革命っていう、二月革命と十月革命、1917年の革命で、どうソビエト連邦という国が成立してたか、レーニンの党がロシアのイニシアチブをどうとっていったのか、を考えてるんですけど、でも革命家の話じゃなくて、(理論派)革命家っていうのはいないともちろん革命は達成されないんですけど、その革命家について行った、名もなき人々も存在しなければ、革命も存在しなかった。その名もなき人々が何をもって立ち上がったのか、革命家たちが叫ぶ革命についていくようになったのか、っていうような過程を書きたいなと

 

倉本 ある意味、一年間というか、二月から十月までの、約八ヶ月くらいの労働者たちの視点で書くということですよね、時間軸的に言うと

 

古川 そうなりますね

 

山口 結構「ロシア革命」ってなってくると、やっぱり少し難しい話なのかなと思われたりすると思うんですけど、頂いた本とか読ませて頂いたら、すごく分かりやすくて、私自身も二十代後半くらいなんですけど、自分自身でも分かることというか、その名もなき人々がどうして立ち上がったのかとか、どういう思いでやっていくのかとかがすごく分かりやすく描かれているなと思ったんですけど、どういう作品として今後描いていくのかとかありますか?

 

倉本 僕は単純にオーディションでテキスト使わしてもらった時に、もちろん歴史を知っている方が書かれるんですけど、やっぱりエンターテイメントというか、誰が見ても分かる会話を書いて下さるから、それがすごくありがたいというか、演出家冥利に尽きるというか、(古川さんは)窓口が広いから、色んなことがやれるなって思っていて

 

古川 そうですね、何だかんだ言って我々が創るものはエンターテイメントなので、自分の自己満足なってはもちろんいけないですし、観ている人が心熱くなるような何かっていうのを描きたいと思っていますので、なので出来るだけ簡単に、歴史的な事実ももちろん大事なんですけど、そこにこだわりすぎると面白さっていうのを置いてきちゃう事があって

 

倉本 本当にそうなんですよね。実際はやっている人たちは今その瞬間みたいな、nowで起こっている事だから、古川さんはそこが上手いんですよ~。あ、褒めててもしょうがないですね(笑)

 

山口 現代の社会では、トランプがどうのこうのとか、韓国で起こってた問題とか、デモとか一種のお祭りみたいになってたりするんですけど、その人が集まって立ち上がるってことが結構頻繁に起こっているなと思ってて、身近というとあれですけど、ある種肯定されている気がしてて、このロシア革命の時代は今ほど簡単なことではなかったと思うんですけど、現代と通じる何かがあると思うので、見てる人も考えることができるのかなって

 

倉本 トランプの話で言うと、トランプ側の話と、(ロバート・デ・ニーロがやるみたいな)反対派の話と、どっちの視点も古川さんは書いている感覚ですよね

 

山口 (だから)労働者側がヒーローってわけでもないですよね?

 

古川 そうですね。でも結局その力がないと革命は起きないし、権力は握れないし、でも権力握った結果、じゃあどうなるか。っていうのが問われることだと思うんですけど、それは歴史的にみても結果がある程度出てしまっているので、それを結果論で言うんじゃなくて、それになるまでの過程の中でどう立ち上がっていったかっていうことの一般性って言うんですかね。我々は一人一人生きてる社会に対して、力を持ってるんだぞ、っていうことを、食える食えないは別にしても、声を上げるということにはこんな力があるんだ、というような、一般性のあることをお客さんに感じて頂きたいなとは思いますね。

 

倉本 ある人たちに、「革命」を僕と古川さんでやるって言ったら、みんな面白そうって思ってくれるんですよ。単純にね、革命って言葉にみんな何か思ってるんだな、っていうのはすごく感じるんですけど、どうですか?古川さん。

 

古川 そうですね。本来、革命ってもちろん良い面も悪い面もあるんですけど、やっぱりそのロマンがあるということに尽きると思いますね。

 

倉本 本当にそうですよね。オーディションの時に、僕、全員に「あなたにとって革命って何ですか?」って聞いたら、もちろん悪いことを言う感じの始まり方をするんですけど、「チェンジする。」とか、みんな良い風に捉えてるんですよね。古川さんの言う通り、ロマンがあるというか、夢と希望があるというか。言葉にすると安易になっちゃうんだけど、今の時代に人が生きたいって思うとこに行き着くんじゃないか、みたいなことが古川さんとやっていて、すごく重要な問題だなって二人で話したりしているんですよね。

 

古川 そうですね。

 

倉本 大多数とは言わないけど、演劇を見てくれてる人も、やっている人も含め、みんな踊らされるんじゃなくて、踊りたいんじゃないかなって思っていて。自分の意志で踊りたい、っていうのは「生きる」ってことなんじゃないかなって最近思っていて。だからそういうことを古川さんとやれたら面白いなって。

 

古川 確かにね、そういうことですよね。結局、主体性を持って生きるっていう、単純な理屈に行き着いてしまうと思うんですけど、その社会状況が変わって、ある程度豊かな世の中になると、別に自分の主体性を持たなくても生きていけちゃう。でも、心の中にフラストレーションがあるから、どこかで踊りたい。自分が主人公になりたい、っていうのはあるし。まあ演劇人なんてその気持ちを持ってるから創作活動をしてるとこはあると思うので

 

倉本 いま世の中面白くて、前までは情報を拡散して、みんなで情報を共有するみたいな風潮があったじゃないですか。トランプの事とか、不倫問題とかが色々出てくると、僕車乗ってラジオ聞いてたら、「みなさん、情報はあまり信じないようにしましょう。」って言っていて、これは面白いなと思って。(何かその感じってありますよね。)

 

山口 いや情報って、本当に怖いですよね。何を信じるかは自分で選択していかないとですし。その時は(ロシア革命の時代は)自分で選択するってことをやっていたのかなって。情報に踊らされているとか、確かに本当の情なんだろうかとか、そんなことも考えずに真っ直ぐそこに突き進むっていうのが、でも蓋開けてみた時に違ったりとか

 

倉本 だから面白いですよね。信じろ信じろってみんなが言ってたものを、次は信じるなって

 

古川 そうでしょうね。まあ、ロシア革命の時代は、特にロシアが知的水準が低くて、要するに一般庶民、労働者とか農民とかがものを考えない、でもそれが支配者には都合のいい社会で、段々あまりにも生活が疲弊して、革命が進んでいくと『言葉』を求めた。貧しい兵士にせよ、労働者にせよ、新聞とか各グループが出してるアピールとかを、争って読んで、自分なりに考えて、仲間うちだけでも演説会があちこちでどんどん開かれて、言葉を求めてその言葉の上で、意識が変わっていって革命が起きた、っていうのがあるらしいんですね。

 

山口 不思議ですね。言葉っていうものが人を変えていくってことですよね。

 

倉本 けど、言葉を求めたってすごいね。

 

古川 やっぱり社会に参加するっていう意義を自分で体感するっていうことがある種の興奮だったんですよね。それまではお金を持っている人とか、皇帝様の言うがままに生きることこそが正しい生き方だってなってたんだけど、そうじゃなくて自分たちの頭で考えて、自分たちで言葉を発して、メッセージを出していかなきゃっていう意味で、社会参加に対する興奮っていうのがあったんだと思うんですよね。

 

倉本 それこそまさに日本でいったら、良い悪いは抜きにしても、学生運動とかはまさに学生がインテリになりたいっていうか、芸術とか色んな知識を得て爆発してったことにも似てるかもしれないですね、時代性としては。

 

古川 あの運動自体はそういう意義はちゃんとあったんですけど、運動そのものが失敗で終わってしまったので、日本人は相対的にあれ以降はしらけてるっていうのがあるとおもうんですよね。

 

倉本 最近あったじゃないですか、国会のデモ。あれが賛否はあるといえ、やったってことが意味のあることですよね。

 

古川 そうですよね。まずひとつ意識変革っていうんですかね、我々は社会に参加してるんだっていうのを、あのデモに行った一人一人が感じて、そこからの人生をどう選んでいくかってことになると思うんで。民主主義国家だと社会を変えるっていうのは非常に遠回りなんですけど、究極的にはその一人一人の心待ちが変わっていかないと社会は変わらないと思うので。

 

山口 自分たちの中では社会に参加するっていうのは少し遠い存在というか、選挙の投票数も少なくなっているこの世の中で、でも、この企画でやりたいことっていうのは社会的というよりかは人間ドラマっていう感じなんですかね?

 

古川 そうですね。社会的なメッセージで社会を変えたいなら、講演会とかやった方がいいとおもうので(笑) そうではなくて、ストーリーを。

 

倉本 そうですよね(笑) 演劇やる必要ないですよね。

 

山口 舞台でこういうものを描くっていうのは、オーディションで一人一人に「あなたにとって革命ってなんですか?」って聞いた時に、みんなそれぞれ革命っていう言葉に対してイメージを持ってて、だから観てもらえたら一人一人感じることが違うのかなっていうのが、舞台でやる意味はあるのかなって私は感じます。

 

倉本 僕的には、古川さんが書く本は(範囲が)広いから、歴史を知ってる人も楽しめるし、社会に対する問題意識を興味ある人っていっぱいいるわけじゃないですか、その選挙にも行きたいとか、もっと色んなことを知りたいとか、古川さんが言ってた言葉を求めてる人たちもいるだろうし、もう一つの視点としては観たことない人も分かる、上からじゃなく下から見た目線もあるし、お金持ちの人が観ても上の目線でも観れるかもしれないし、そういう広さがあるっていうのが今回の作品の一番強いところだなって自分では思ってるんですけど。 

 

山口 そうですねぇ。

 

倉本 逆に(ちーちゃんは)どういうのが観たいの?

 

山口 もちろん色々あるんですけど、エネルギッシュな作品が観たいというか。やっぱり舞台の面白さっていうのは生で観れるっていうことだと思うんですよね。お客様がお帰りになられる時に元気もらったりとか、パワーをもらえるようなお芝居を観たいなと思うので。なので今回古川さんに書いて頂いて、倉本さんが演出して、出演者も40人~50人の大所帯のお芝居でこれをやるっていうことの意味にもなるのかなって、それをお客様に持ち帰ってもらえたらなって。

 

倉本 最後に見どころ的なことを言って終わりますか?

 

古川 そうですね。企画段階の時とかは全く失念してたんですけど、今年ちょうど100年なんですよね。2017年で。

 

山口 おぉ~!

 

倉本 確かに確かに!僕も気付かなかったです。

 

古川 だから、ロシア革命とかを題材にしますっていうと、ほんの10年20年前くらいはある一定の※イデオロギーのフィルターを通した作品であろうって考えられてる時代が長かったじゃないですか。でもさすがに100年たって、色眼鏡を外して、ロシア革命っていうのをもう一回、別の視点で作品ができる時代になったんじゃないかなっていう風に感じてるので、先入観なしで楽しめるようなものになったらいいなって思ってます。

 

倉本 ありがとうございます。僕は単純に、さっきも話しましたけど、ちょっと日本じゃない遠い国の昔あった出来事を考えるっていうことは、例えば100年前からずっと革命があったっていうことは、古川さんがおっしゃってた歴史性とか、みんな死んでも死んでも飯を食うためにずっと何かを変えようとしてたっていうことを、遠い世界から見ることで今の自分に返ってくるっていうか、日本でもそういう事は起きてたはずだけど、日本で考えたり、今のリアリズムで、今の社会っていうことで現代劇をやるとそこには行き着かない気がしていて、そういう気づきみたいなのものが、古川さんが書く歴史と、自分たちとは違う遠い国の本当にあった話を観ることで、自分にフィードバックできるというか、これから自分たちが生きてくうえである気づきを得れるんじゃないかな、っていうのが、一番面白いことなんじゃないかなと思ってます。そして、最後にやっぱり、古川さんと僕を結び付けてくれた共通のスタッフに感謝したいですね。出演者もみんな一人一人がすごく高い意識でこの作品に臨もうとしているし、何より熱を感じます。

 

山口 本当にそうですね。必ずや隅田で熱い革命を起こしてくれるんじゃないでしょうか?いや、届けるよう、に必死にやります。まあ、ではそんなところで、今回の「祖国我らのために」の鼎談終わらせて頂きます。長々とこの長い鼎談を見て下さり誠にありがとうございます。

二人 ありがとうございました。

 

※無血革命・・・平和的手段で達成される革命。

 

※階級闘争・・・生産手段の私有が社会の基礎となっている階級社会において、階級と階級とのあいだで発生する社会的格差を克服するために行われる闘争。この闘争により革命が起きるとされている。

 

※インテリゲンチャ・・・ロシア語で「知識人」の意。知識階級を指す。

 

※マルクス主義・・・マルクスが唱え出し、エンゲルス、レーニン等が発展させた世界観、およびこれに基づく実践活動。

 

※イデオロギー・・・人間の行動を左右する根本的な物の考え方の体系。観念形態。俗に、政治思想。社会思想。

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